この記事では、2021年に筆者が出会った本のなかで「本当に読んでよかった!」と思えるものを厳選して紹介します。
ランダムに選んだつもりですが、改めて読み返してみると「泣ける系の本」が多くなっていました。
いろいろ悩みはあるけど、人に相談するのはなぁ……
ネガティブな妄想にハマりがちなわたしは、問題解決につながる「ヒント」を本に求めていたのかもしれません。ページをめくれば著者の経験や考えに触れられますし、遠慮なくゆっくりと自分のペースで読めますからね……。
心に残っている本・涙が出た本・また読みたいと思う本を10冊、ランキングにしています。あなたの本選びの参考に、すこしでも役立てればうれしいです。それでは、どうぞ!
読んでよかった本ランキング 1位「ルックバック」
作者|藤本タツキ
ジャンル|漫画コミック
本の長さ|144ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
学級新聞に四コマ漫画が載せていた小学生の「藤野」は、先生やクラスメイトから褒められ自信を持っていた。
ところがある日、引きこもりの京本が描いた圧倒的な漫画を見て衝撃を受けます。負けず嫌いな藤野は毎日漫画を描き続けるものの、京本には届かなかった。
ついには絵を描くことをやめてしまう。しかし藤野が喉から手が出るほど欲しい絵の才能をもった京本は、なんと藤野の4コマ漫画のファンだった。そして二人で漫画を描くようになるが……。
感想メモ
スポーツでも文章でも仕事でも何かに打ち込んでいる人は、主人公である「藤野」の気持が痛いほどわかるのではないでしょうか。
才能のあるひとに出会ったときの衝撃、劣等感と葛藤、そして甘い期待。さらには才能あるひとが、自分よりも努力を続けている現実。ひとつひとつがリアルで心が抉られるようでした。
でもだからこそ、ひたすら漫画を描き続ける「藤野」の後ろ姿に心が震えます……。
心が震えるマンガ!
読んでよかった本ランキング 2位「家族だから愛したんじゃなくて愛したのが家族だった」
著者|岸田奈美
ジャンル|エッセイ
本の長さ|221ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
「そんなことある!?」と言ってしまいそうな仰天トラブルが、つぎつぎと起こる岸田一家のエピソード集。
著者である岸田奈美さんのお父さんは突然死。お母さんは心臓病からの車いす生活、弟さんはダウン症で、おばあちゃんは認知症がはじまって……。でもそんな大変で愛しい日々が、笑いあり涙ありのエッセイとしてまとめられている。
感想メモ
もしもわたしだったら、アタフタして悲観して暗~くなってしまいそうなハプニングさえも、著者である岸田さんは笑い転げているすごい人。
(たぶん本当は悩むこともあると思うけれど、それでも笑ってのけるのがすごい)
独特の視点からか勢いある文章力からかわかりませんが、岸田さんにつられて(?)ハラハラしてしまうような出来事もクスっと笑えてしまいます。
「笑う門には福来る」ということわざがありますよね、あれホンマなんやなと思いました。
泣けるのに元気が出る本
読んでよかった本ランキング 3位「体験の哲学」
著者|飲茶
ジャンル|哲学書
本の長さ|223ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
さまざま哲学入門書をわかりやすく書いてきた著者、飲茶さん自身が持っている哲学。それが「体験の哲学」である。
この本を一言で表すなら「日常生活にあるひとつひとつの体験に、もっと意識を向けよう!」だろうか。わたしたちの意識はつい、過去や未来へふわふわと向かってしまいがちだが、そのままでは今の体験を味わえていないのでは!?と問われている。
巻末には「体験のチェックリスト」が用意されており、読むだけでなく具体的な実践方法も解説されている。
感想メモ
難しそうだと思って食わず嫌いしていた哲学書でしたが、「体験の哲学」は専門用語もほとんどなく、超初心者のわたしでもサクサク読めました。
繰り返される毎日。たとえば通勤や食事、ルーチンワーク、さらには自分自身のこと。「つまらないなぁ」と思っていた気持ちが「体験を意識する」の言葉で吹き飛びました。
「ボーっと生きてんじゃないよ!」と飲茶さんに言われたような気がします……。
哲学の実践本
こちらの記事で詳しくレビューしてます
読んでよかった本ランキング 4位「ライオンのおやつ」
著者|古川糸
ジャンル|小説
本の長さ|255ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
29歳の若さで余命宣告された主人公、雫(しずく)。
彼女はレモンの香りがする瀬戸内の島のホスピス、「ライオンの家」で残りの日々を過ごすことを決める。ライオンの家では、毎週日曜日みんなで集まる「おやつの時間」があった。入居者は「人生の最後に食べたいおやつ」をリクエストできるのだ。
おやつの時間をとおして、雫はこれまでの人生を振り返っていく。
感想メモ
じつはわたし、ぶっちゃけ病気系の本は苦手です。
なぜなら読んでいるうちに、自分や家族の死をイメージして悲しくなってくるからです。
ところがどっこい「ライオンのおやつ」はまさに死の間近にいる人たちのお話ですが、辛さはなくむしろ温かい。もう残された時間がない切実さとのコントラストで、「生きていること」がより色濃く感じられました。
「食べる」「歩く」「話す」「会う」こと。普段の何気ない日常が大切に思える作品。
涙が止まらなくなる
読んでよかった本ランキング 5位「鬼の子1・2」
著者|幡野広志
ジャンル|漫画コミック
本の長さ|1・2巻ともに333ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
犬や猿やキジをつれて鬼退治をした桃太郎。めでたしめでたし~でお話は終わっているけれど、じつは退治された鬼の子どもがいた……。それが「鬼の子」の主人公、オニくん。
人間に怖がられてさみしくて一人ぼっちだったオニくんは家出をして、人間のみのると一緒に暮らすことになる。はじめは帽子でツノを隠していたけれど……。
学校へ行ったり友達と野球をしたり、だんだんオニくんの世界が広がりだす。
感想メモ
「鬼の子」の登場人物は、みんなそれぞれ悩みを持っている。オニと人間の違い。仕事とプレッシャー。世間体。すれ違い。みんなの悩みがほぐれたり空回ったりしながら、進んでいくストーリーです。
ときどきトンチンカンなことを言ったり、うれしくて顔がすぐ赤くなってしまうピュアなオニくんがとても可愛らしい。ほっこり心が温まります。読み終わったときに寂しくなるくらい、素敵なお話。
Cakes人気連載コミック
読んでよかった本ランキング 6位「なんで僕に聞くんだろう。」
著者|幡野広志
ジャンル|人生相談集
本の長さ|269ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
著者は、写真家の幡野広志さん。ガン患者であること、完治する見込みはないことを公表したら、励ましや応援メッセージだけでなく、何故かたくさんの人生相談が彼の元に届いた……。
- 親子関係
- 結婚
- 不倫
- 生き方
などジャンルはさまざまだけど、ちょっとすぐには答えられないような重ためな悩みたち。
ただ共感するでもなく否定するのでもなく、幡野さんの絶妙な回答が詰まっています。
感想メモ
「悩んでいるときって自分の事で頭がいっぱいになっている」と思いませんか?
幡野さんはそんな視界が狭くなっている相談者たちの悩みに対して、何というかあっけらかんとしています。
耳さわりのよい綺麗ごとはなし。ズバッとはっきり答える、でも突き放すわけじゃない。
尊重しつつズバッと言っている。他人のわたし自身とはまったく違う相談でも、読んでいるとスッキリして心地よいです。幡野さんに人生相談してしまう人の気持ち、わかる気がしますね……。
みんなの相談話集
読んでよかった本ランキング 7位「デス・ゾーン 栗田史多のエベレスト劇場」
著者|河野啓
ジャンル|ノンフィクション本
本の長さ|344ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
凍傷で両手9本の指を失っても世界最高峰エベレスト登頂を目指した登山家、栗城史多さん。カメラを片手に登山する様子を自撮りし、インターネット生中継した。
登山家ではなくエンターテイナーだと叩かれもしていたが、まだYouTuberなどがメジャーな職業ではない当時、自分を商品として「デスゾーンの世界」を世間に広めたパイオニアでもある。
人間が生存できないほど酸素濃度の低い高所をあらわす登山用語。標高8000mの酸素は、地上の約1/3しかないらしい。酸素ボンベを使わなければ、やがて死に至る。
栗城さんは2018年、8回目のエベレスト挑戦中に滑落死している。しかし酸素ボンベを使わず、さらに無謀ともいえるルートを選択した彼が命を落とした本当の原因はなんだったのか?
栗城さんの人生を追うジャーナリストによるノンフィクション作品。
感想メモ
読み終わったあと、何とも言えない後味の悪さがありました。
著者であるジャーナリスト河野さんが取材をとおして語る「栗城史多」は、登山家ではなく単独・無酸素エベレスト登頂という夢を商売道具にする人のように見えます。
栗城さん自身がそういう立場に身を置いたといえますが、「夢の実現を期待し、失敗すれば批判する」世間が彼をエンターテイメントとして楽しみ消費していたような気がして……。
この「デス・ゾーン」を書いた著者も読んでいるわたしも、その片棒を担いでいるんじゃないのか?そう思えてモヤモヤした気持ちになってきます。たぶんそれが後味の悪さの理由なのでしょうね。
心がざわめくノンフィクション
読んでよかった本ランキング 8位「推し、燃ゆ」
著者|宇佐美りん
ジャンル|文学
本の長さ|144ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
推しことアイドル上野真幸は、ファンを殴り一晩のうちに急速に炎上した。生活のすべてが推し中心の高校生「あかり」にとって、それは命にかかわるほどの出来事だった。
学校の授業やアルバイト、家族とのやりとりなど、みんなが当たり前にできることが、彼女にとっては難しい。推しだけは特別だった、押しを理解することにのめり込んでいたのに……。
炎上によって推しが突然いなくなることによって、あかり自身も変化していく。
感想メモ
まずタイトルがかっこいい。好きなアイドルが炎上しているのを「推し、燃ゆ」ですよ?かっこよすぎでしょ。
わたし自身は「推し」という言葉はほとんど使わないけれど……。主人公のあかりが人生まるごとかけてアイドルを応援する姿が危うくも輝いて見え、一気に読んでしまいました。
登場人物たちの何気ない会話やSNSのコミュニケーションなどの表現が今っぽくて、文字を読んでいるけど映像が浮かぶような生々しさがあります。
芥川賞受賞作!
読んでよかった本ランキング 9位「言い訳 関東芸人はなぜM-1で勝てないのか」
著者|藤吉豊・小川真理子
ジャンル|実用書
本の長さ|224ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
ヤホー漫才で有名な漫才コンビ「ナイツ」の塙さんによる、お笑い解説本。
- 漫才とコントの違いはなにか?
- お笑い芸人さんたちにとってのM1グランプリとは
- 関西芸人がM1グランプリで有利な理由。
などなど。塙さん自身の体験談はもちろん、M1グランプリで優勝した歴代コンビの何がすごいかを分析されている。
感想メモ
お笑い芸人さんたちを見ているとき、ほとんどの人は「何がどう面白いのか」あんまり考えてないと思うんです。
ふふっと笑いが込み上げてくるけど、その理由はよく分からない。
そのよく分からない部分、有名コンビのネタにあるお笑いの元(発明?)を解説してくれています。この本を読んでからお笑いを見ると、今までとは違った視点つまり「何がおもろいねん!」が気になるようになりますよ~。
お笑いとはなんぞや解説本
読んでよかった本ランキング 10位「『文章術のベストセラー100冊』のポイントを1冊にまとめてみた。」
著者|藤吉豊・小川真理子
ジャンル|実用書
本の長さ|224ページ
おすすめ度|
読みやすさ|
あらすじ
文章術について語られた本は山ほどあるが、まるっとランキングにするという新しい切り口で書かれた本。
人気ライター2人が文章術のベストセラー100冊を読み込み、共通して出てくる重要ポイントをわかりやすく解説してくれる。文章術の本だけあり、この本自体が非常に読みやすい。
伝わる文章の黄金ルールを発見できるかも……!
感想メモ
メールやSNSなど日常的に使っている日本語ですが、いざブログ記事を書こうとすると「あれ?日本語難しい…書けない…」と手が動かなくなってしまい読みました。
プロとして文章を書く仕事をしている人たちが、どんなことを意識しているのかがわかる本です。「たくさん文章術の本を読む時間がない」「とりあえず、大事なポイントだけでも頭に入れておきたい」という方におすすめ。
文章術のポイント凝縮本
まとめ
今回は、2021年に本当に読んでよかった本を10冊ご紹介しました。ランキング形式にはしていますが、どれも心に残っているおすすめの本ばかりです。
読書は、いろいろな文章にふれたり、悩みのヒントが見つかったり、新しい知識を得るきっかけになります。そして単純に本の世界に入るのは楽しいですよね。
気になった本があれば、ぜひ読んでみてください。
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