「漫然と生きるなッッ」
格闘漫画「刃牙」の絵が帯に描かれている「体験の哲学」。「史上最強の哲学入門」など数々の哲学本を書いてきたベストセラー作家・飲茶氏「初の実践書」です。知識だけではない実践の哲学となっています。
この記事は「体験の哲学」の感想レビューです。「人生がつまらない」「何となく日々を過ごしている」と感じている人へ、おすすめの一冊。わたしはこの本を読んで、日常生活が少し新鮮に感じられるようになりました。
人生の役に立つ哲学は「体験」にあり
「刺激のない日常」「同じことを繰り返す毎日」「あーあ、なにか面白いことないかなぁ……」と考えたことはありませんか?
子どもの頃は目に映るものすべてが面白かったのに、大人になるにつれて新鮮さが失われ時間だけが過ぎていく
「体験の哲学」を読むまで、わたしもそのように感じていました。ところが、本当は目に映るものの新鮮さが失われたわけではなかった……。「見えていなかった」もしくは「見る必要がないと思い込んでいた」のです。
「体験の哲学」から得られるもの
「体験の哲学」の著者・飲茶氏はこれまで、さまざまな哲学入門書を書かれています。哲学のことを知らない初心者にも分かりやすく、10万部を超える本も出てくるほどの人気です。
しかし、今回の「体験の哲学」は哲学入門書ではありません。名前のとおり、知識ではない実践の哲学です。
飲茶氏自身が哲学に触れ学ぶなかで、体に染みついたもの。実際に人生の役に立ち、そして幸せにしてくれた方法が「体験の哲学」という形で紹介されています。
「体験の哲学」を読むと、次のことが得られます。
- 自分が体験してないことを確認できる
- 日常生活が改めて新鮮になる
- 自分をより深く知ることができる
「体験の哲学」の著者プロフィール
新刊『体験の哲学』が6月16日に発売します😃
— 飲茶「史上最強の哲学入門」 (@yamcha789) June 10, 2021
「今の時代において哲学をどう人生に役立てるのか?知識が価値を失い、実践の時代が訪れる!」というテーマで書かせて頂きました😄
宜しくお願いします😆https://t.co/BXz7D00ZRH
プロフィール
飲茶|東北大学大学院卒業。ITベンチャー企業経営、漫画原作者と多才な哲学作家。格闘漫画「刃牙」を今世紀最大の哲学書と呼ぶ。
主な著書は「史上最強の哲学入門」「史上最強の哲学入門 東洋の哲人たち (河出文庫)」「14歳からの哲学入門 「今」を生きるためのテキスト (河出文庫)」など。
Twitter| 飲茶「史上最強の哲学入門」
ブログ|飲茶な日々-史上最強の哲学日記
「体験の哲学」の感想「当たり前」という考えがぶっ飛ばされた
「人生とは体験の束である」-飲茶-
そもそも、人生とは日常的な体験の集まりであると言えます。すなわち、「人生=体験の集合」ということ。経験主義の哲学者ヒュームが「私とは知覚の束である」と洞察したことにならって、もう少し哲学の格言っぽく言えば、「人生とは経験の束である」と言い換えてもよいかもしれません。
出典|「体験の哲学」著者 飲茶
「もしもあなたが体験を意識せず薄ぼんやりとしか味わっていないならば、あなたの人生もまた薄ぼんやりしたものとして過ぎ去っていくだろう」
出典|「体験の哲学」著者 飲茶
飲茶氏は「人生とは体験の束である」と言います。
日常の体験ひとつひとつの積み重ね、それがの人生。だから逆に、ボーっと何となく過ごしているということは人生の時間(体験)を失っているとも言えるわけです。
たとえば、歯磨き、家のカギ、掃除、ルーチンワーク。初めてのときは、じっと集中したり緊張していたはずですが、今はほぼ無意識で行っていることはありませんか?
- 家の鍵かけた?
- ガスの元栓閉めた?
- 昨日のお昼は何を食べた?
よく思い出せません……。たとえ習慣化されていない体験だとしても、関係のないことを考えていたりすることがほとんどです。わたしもまさに「薄ぼんやりとした体験」を繰り返していました。
「普段見過ごされている日常的な体験に目を向け、その体験を意識して味わって生きよ」
出典|「体験の哲学」著者 飲茶
「見過ごされている日常に目を向けよ」「体験を意識して味わって生きよ」この言葉が「体験の哲学」を読んで、一番心にグッサリ刺さりました。
「当たり前」になっている日常的な体験にこそ目を向けよ!
身近な日々の生活を、本当は味わえていないのではないか?そう考えると、見慣れたはずの毎日は「未知の世界」へと姿を変えます。「なんだ、こんな近くに知らない世界があったんだ」と何故だか嬉しくなりました。
わたしたちは大人になっても「ワクワクしたい気持ち」を抱えているのかもしれませんね。
体験の哲学!実践方法「体験チェックリスト」
「体験の哲学」では、具体的な実践方法として巻末に「体験チェックリスト」が用意されています。
「食べる」「観る」「身につける」など体験がカテゴリー分けされ、単語がズラっと並んでいます。たとえば「食べる」の項目のなかには、さらに「フルーツ」があり「アケビ」「アセロラ」「アンズ」などがあります。
体験したらチェックボックスに印をつける、シンプルなチェックリストです。
しかしこの「体験チェックリスト」こそが、「体験の哲学」の真骨頂。
チェックリストを眺めていると、一度も食べたことのないもの・使ったことのないもの・行ったことのない場所がたくさん見つかりました(もう何十年も生きているのに……!)
現代は、簡単に情報が手に入ります。ニュースやSNS、誰かの話を見た・聞いただけで実際には体験してないのに、知っていると思い込んでいる可能性があります。
そこで「体験チェックリスト」の出番というわけですね!新しい体験はもちろん、これまで体験したと思い込んでいることも再発見することができるのです。
「行為それ自体が目的となるような行為こそが幸福だ」
出典|「体験の哲学」著者 飲茶
これは、哲学者アリストテレスが語る幸福の定義です。体験そのものを無心で味わうときには、誰かと比較する必要もない、過去と比較する必要もない、言葉にする必要もない。哲学的幸福という状態になるそうです。
つまり、チェックリストを使って、自分の人生のなかに「体験」を増やせば「幸福」も増えていく。
人生のなかに少しでも新しい体験・知っていると思い込んでいた体験にチャレンジする時間を増やしたいですね。
「体験の哲学」を購入するなら文庫本がおすすめ
「体験の哲学」でひとつだけ、残念な点があります。それはKindle版の「体験の哲学」が、読みづらいところ……。
「デフォルトの文字が小さめ」「ハイライト・検索・辞書の参照ができない」「文字の拡大をするとページ送りができない」という仕様だったのです(どうして……PDFなのか……?)
- 文字が小さい
- ハイライトがひけない
- 検索できない
- 辞書の参照ができない
- 文字の拡大をするとページ送りができない
目が悪い方は、Kindle版を読むのがしんどいかもしれません。巻末にある「体験チェックリスト」を埋めるためにも、「文庫版」のほうが使いやすいと思います。
これから「体験の哲学」を購入するなら、Kindle版ではなく文庫本がおすすめです!
まとめ 目の前にある「体験」を味わって生きよう!
飲茶さんの「体験の哲学」を読んだ。心にグッサリ刺さる。目新しいことなど何もない日常。だけど、その日常の「体験」をわたしたちは本当に味わえているのだろうか?「当たり前」という考えがぶっ飛ばされた。あと何回か読んで、本の内容を飲み込みたい……!#体験の哲学 pic.twitter.com/4ZuR7QaXLd
— アナログ子 (@Trigger_Blog) July 7, 2021
今回は、「体験の哲学」の感想レビューをまとめました。
当たり前だと感じている「日常」も「自分自身」も、本当は知っていると思い込んでいるだけかもしれない……
という考えはドキッとさせられるものがありましたよ。
飲茶氏の文章はとても分かりやすく、スラスラと滑るように読めます。哲学に関する本は読んだことがない方にもおすすめです。
- 「毎日つまんないなぁ」
- 「哲学って人生に役に立つの?」
「体験の哲学」は、そんな人に手に取ってほしい本です。
その理由は、「体験の哲学」を読んでから「つまらない毎日」だったはずの日常生活が、新鮮に感じるようになったからです。生活自体が変わったわけではありません。これまでとは少し違う視点で見れるようになったのだと思います。
「体験の哲学」(文庫版!)を下のリンクで紹介しています。「体験の哲学」を読む体験、ぜひしてみてくださいね!
\人生の役に立つ哲学本/
\飲茶氏のロングセラー本/
\史上最強の哲学入門 東洋哲人編/
コメント