この記事では、時間の使い方を考える本「SINGLE TASK-一点集中術」について紹介します。
仕事・趣味・勉強・遊び・家族と団らん、時間はいくらあっても足りないですよね。アッという間に過ぎていき、気が付けばもう1日が終わってしまっていることも多いと思います。
最近では「マルチタスク」という言葉をよく耳にします。マルチ、つまり複数のタスクを同時に処理していくことです。「マルチタスクが得意だ」という方もおられるかもしれません。
ところが今回ご紹介する本「SINGLE TASK 一点集中術」では、「マルチタスクは科学的に不可能」と断言されています。
不可能とは一体……、どういうことなのでしょう?続きは本文でご紹介しますね。
本書をおすすめしたい人
- いつも山積みの仕事に追われている
- スマホの通知が気になって集中できない
- SNSがやめられない
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「SINGLE TASK 一点集中術」の概要

「SINGLE TASK 一点集中術」は、デボラ・ザック氏によって書かれたビジネス書です。45か国語に翻訳され、世界中で読まれています。2019年には、フォーブス誌のTop Networking book賞に選ばれました。
- タイトル「SINGLE TASK」
- 著者 デボラ・ザック
- 訳者 栗木 さつき
- ページ数 224ページ(単行本)
- 発行日 2017年8月30日
- 発行所 ダイヤモンド社
- 価格 単行本:1650円 Kindle版:1336円(※Amazon 2020年7月時点)
著者デボラ・ザック氏について紹介
デボラ・ザック氏(Devora Zack)は、ベストセラー作家であり、講師であり、リーダーシップを専門とするコンサルタントです。
多くのクライアントを抱える国際的なマネジメント会社、オンリー・コネクト・コンサルティング社(Only Connect Consulting,Inc.)のCEOを務めています。主なクライアントは、コーネル大学、オーストラリア経営研究所、ロンドンビジネススクール、アメリカ国立衛生研究所など。
参考|Only Connect Consulting, Inc.
「SINGLE TASK 一点集中術」以外で日本語に翻訳されている著書には、「自分のタイプを理解すればマネジメントは成功する」があります。
「マルチタスク」と「シングルタスク」の違いとは?

「SINGLE TASK 一点集中術」は、大きく3つのパートに分けて書かれています。
- シングルタスクの原則
- 自分の行動を変える方法
- シングルタスクを継続するヒント
この記事では、①シングルタスクの原則と、記事のはじめに書いた「マルチタスクは科学的に不可能」に触れたいと思います。
「マルチタスク」は科学的に不可能!?
マルチタスクは役に立たない。いや、もう一歩踏み込んで言わせてもらいたい。
マルチタスクなどというものは、そもそも存在しない。
出典 SINGLE TASK 一点集中術
「マルチタスクなんてものは存在しない」という衝撃的な意見です。
「まさか…。マルチタスクで作業を進めなければ、仕事が終わらない」と思われた方もいることでしょう。わたしも思いました。
しかし、これは著者だけの意見ではなく、脳科学者の意見に基づいているそうです。本のなかで紹介されている科学者の意見を、2つ抜粋します。
スタンフォード大学の神経科学エヤル・オフィル博士は「人間はじつのところマルチタスクなどしていない。タスク・スイッチング(タスクの切り替え)をしているだけだ。タスクからタスクへとすばやく切り替えているだけである」と、説明している。
こうした行動を続けているとマルチタスクをしているような気分にはなるものの、現実には、脳は一度に2つ以上のことに集中できない。そのうえ、注意をあちこちに向けていると、効率が落ちる。
出典 SINGLE TASK 一点集中術
マサチューセッツ工科大学のアール・ミラー博士はこう述べている。「なにかをしているときに、べつのこと(タスク)に集中することはできない。なぜなら2つのタスクのあいだで『干渉』が生じるからだ。人にはマルチタスクをこなすことなどできない。『できる』という人がいるとしたら、それはたんなる勘違いだ。脳は勘違いするのが得意である。」
出典 SINGLE TASK 一点集中術
「マルチタスク」をすればするほど集中できなくなる
つまり、脳の仕組み的にマルチタスクは不可能。
わたしたちが「マルチタスク」だと思っている行動は、タスクからタスクへすばやく切り替える「タスク・スイッチング」をしているだけだそうです。しかも、タスク切り替えるたびに気が散ってしまうので、作業効率が落ちてしまうとの事…。
要するに、マルチタスクをすればするほど集中できなくなってしまうのですね。
マルチタスク=めちゃくちゃ気が散っている状態
ちなみに、注意を必要としない作業は同時に行うことが可能だそうです。
例えば……
- 音楽をききながら、考え事をする
- ウォーキングをしながら、考え事をする
- 歯磨きをしながら、考え事をする
などです。音楽をきく、ウォーキング、歯磨きなどは意識しなくてもできるので、同時にできるというわけですね。
忙しいからこそ、シングルタスク!
シングルタスクとは……
シングルタスクとは、「『いまここ』にいること」「一度に1つの作業に没頭すること 」を意味する。
出典 SINGLE TASK 一点集中術
マルチタスクとは逆ですね。
「忙しいのに…1つずつ作業していたら、間に合わないよ!」
と思いましたか?
でも本当にそうでしょうか。例えば…
- 会議中にメールチェック
- 恋人とデート中、仕事のことを考える
- 映画を見ながら、ネット検索
同時進行で作業しているつもりでも、どちらかに集中していると、どちらかが疎かになってしまいます。
恋人は怒り出しそうですし、仕事の効率もよくないですよね……。
やはり、1つの作業に集中するほうが、人間の脳に合った方法のようです。
シングルタスクは、忙しい現代人の必需品と言えるでしょう。
「SINGLE TASK一点集中術」の刺さった言葉

わたしたちは、仕事でも普段の生活でも「時間」に追われています。受付をしながら電話応対をし、メールの返信、入力作業と次から次へと仕事はやってきます。
あるいは、家事育児に追われ、いつの間にか休日が終わってしまったり。1日24時間。時間はたしかにあるはずなのに、どこへ消えてしまったのか……。
「SINGLE TASK 一点集中術」のなかで、印象に残っている一文があります。
作家のベンジャミン・ホフは「タオのプーさん」という本のなかで、人はさまざまな方法で時間を節約しようとしているが、「時間は節約などできない。使うことしかできないのだ。しかし、賢くも、愚かにも使うことができる」と述べている。
そもそも時間の節約とは、なにを意味するのだろう。
出典 SINGLE TASK 一点集中術
「時間は使うことしかできない」の部分にドキっとしました。
わたしたちの人生は、一方通行です。本当に大切なことに時間を使っているのだろうか?時間の使い方は今のままでいいのだろうか?そんな思いが湧いてきました。
……「時間の節約」ってなんでしょうね。考えてみるとよく分からないですね。
本記事では、マルチタスクとシングルタスクについて、ざっくり説明しました。
「SINGLE TASK 一点集中術」では、どのようにシングルタスクを身につければよいか、具体的な実践方法なども書かれています。
もしかしたら、あなたの生活を変えるヒントをくれるかもしれません。シングルタスクについて興味が湧いたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。
忙しいからこそ時間の使い方を選ぶ
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