この記事では、為末大さんの著書「諦める力」について紹介します。
「諦める力」を読むきっかけとなったのは、マナブさんのYouTube動画でした。マナブさんはブログ、YouTube、Twitterなどで幅広く活躍されている方です。
動画の概要は、次のとおりです。
- 情報が足りないなら、本を読もう
- 読書を習慣化しよう
- おすすめ本紹介
- 本の感想文を送ってください
わたしは、“本を買っただけで満足”、“図書館でたくさん借りて読んだ気になってしまう”というパターンが多いです。典型的な「積ん読」ですね。
そこで、読書習慣を身につけるため、紹介されていた本のひとつ「諦める力」を読んでみることにしました。
「諦める力」ってどんな本?
- タイトル 諦める力
- 著者 為末 大
- ページ数 240ページ
- 発行日 2013年6月14日
- 発行所 株式会社プレジデント社
- 価格 Kindle版:1100円(※Amazon 2020年7月時点)
「諦める力」は、走る哲学者の名を持つ元陸上選手、為末大さんによって書かれたビジネス書です。
陸上選手を続ける中で生まれた葛藤や気づきが、著書「諦める力」にはたくさん詰まっています。
為末さんは、男子400メートルハードルの日本記録保持者です。400メートルハードルにおいて、世界選手権で日本人初となる銅メダルを獲得されています。(※)
「400メートルハードルの才能があったんだな……」そう思いますよね?
しかし、為末さんが陸上をはじめた時、種目は400メートルハードルではありませんでした。100メートルの選手だったのです。
なぜ、400メートルハードルに種目変更したのか?そこから、メダル獲得までの道のりはどんなものだったのか?
陸上選手としての苦悩、考え方の変化などが、著書「諦める力」で描かれています。
為末さんの著書には、「諦める力」の続編となる「逃げる自由」という本もあります。
「逃げる自由」は、Kindle Unlimited読み放題の対象となっていました(2020年7月現在)無料で読めますので、合わせてチェックしてみるといいですよ。
諦めるという言葉のもつ意味
本のタイトル「諦める力」という言葉を見た時、どんなイメージが思い浮かびましたか?
諦める力って……そもそも諦めるのに力なんていらないでしょ
そんな風に思ったかもしれませんね。「諦める」という言葉がもつイメージは、
- 逃げる
- 失敗
- 終わり
- 仕方がない
ネガティブなものが多いのではないでしょうか。
わたしも同じようなイメージ持っていました。この本を読むまでは……。
「諦める力」の冒頭で、次のように書かれています。
辞書を引くと、「諦める」とは「見込みがない、仕方がないと思って断念する」という意味だと書いてある。しかし、「諦める」には別の意味があることを、あるお寺の住職との対談で知った。
「諦める」という言葉の語源は「明らめる」だという。
仏教では、心理や道理を明らかにしてよく見極めるという意味で使われ、むしろポジティブなイメージを持つ言葉だというのだ。
出典 諦める力 為末大著
「諦める」には、「明らかにする」「見極める」というポジティブな意味があるというのです。
諦める時、見えるものは何か
為末さんの諦める力が生まれたきっかけ
為末さんは、もともとは100メートルの選手でした。小学生から中学生までは、急激に記録を伸ばし続けたそうです。
ところが、高校3年生のインターハイからは、100メートルを走ることを諦めます。
その頃、肉離れを繰り返しており、瞬発力が必要な100メートルの試合では、体への負担が大きいと顧問の先生が判断したためでした。
そこで、400メートルハードルという種目に出会うのです。
自分の中にある「勝ちたい」という本心
はじめは、100メートルを諦めたことに罪悪感や後ろめたさがあったそうです。しかし、時間が経つにつれ、だんだんと自分の中にある本心に気が付いていきます。
「勝つことを諦めたくない」
そう、僕は「AがやりたいからBを諦めるという選択」をしたに過ぎない。
誤解のないように言っておくが、僕は400メートルハードルをやりたかったから100メートルを諦めたわけではない。初めて世界の舞台を見て、ここで勝ってみたいと思ったのだ。しかし100メートルにこだわっているかぎりそれは絶対に無理だと思われた。
多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。
だが、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいのではないだろうか。
出典 諦める力 為末大著
100メートルが自分の体に合っていないということを認めて、諦めた。
だからこそ、勝ちたい!という本心に気が付いた。
勝つために400メートルハードルを選んだから、為末さんは日本記録保持者となり、メダルを手に入れることができたというわけですね。
人生は思い通りにはいかないけれど……
この話は、陸上選手だけではなく、わたしたちの人生にも当てはまります。
受験、仕事、人間関係、すべて自分の思い通りにいくことはありませんよね。むしろ、努力をしてもうまくいかないことの方が多いかもしれません。
すべての人が何かしらを「諦める」経験をしていると思います。
為末さんは「勝つ」ために、「100メートル」を諦めることを選んだ。
目的に辿りつくために、よりよい手段を選びなおす。
諦めなければならない時、目的に辿りつくために、選びなおす力。それが、諦める力だと思いました。
目的は人それぞれ違うと思いますが、「諦めたくないことは何か」「目的により近づく方法はないか」考えることが大切なのではないでしょうか。
「諦める力」とは「選びなおす力」
最後に、「諦める力」のなかで一番印象に残っている言葉を紹介したいと思います。
人には、自分が今歩いている道の横に、並行して走っている人生が必ずある。
たとえば僕には、アスリートという人生のほかにも、普通の企業に勤めるビジネスパーソンとして生きる人生もあっただろう。もちろん、ほかにもいろいろな可能性があったはずだ。まずは、今見えているのとは違う人生があることをわかっておくことだ。
出典 諦める力 為末大著
自分の選んだ道で立ち止まった時、目的地に辿りつくために別の道を選びなおす。
「だから、諦めるって前向きことなんだよ」と為末さんが言ってくれているような気がします。
「諦める力」を読んで、「諦める」の捉え方が変わりました。また、今の生活、挑戦していることなどについて、見つめなおす良いきっかけになったと思います。
- 現状に不満がある人
- 諦めることに抵抗がある人
- 動けずにいる人
そんな人におすすめの本です。
あなたの持っている「諦める」のイメージを、きっと変えてくれるはずです。ぜひ「諦めない力」を手に取って読んでみてくださいね。
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