中山七里さんのミステリー小説「連続殺人鬼カエル男」がドラマ化。ぐいぐいと伏線回収しつつ、二転三転していくストーリー展開に、もう完全に転がされてしまいました。
この記事では、ドラマ「連続殺人鬼カエル男」の概要と感想をまとめています。ちなみに中山七里さんは「どんでん返しの帝王」とも呼ばれているのだとか。最近ドキドキが足りないというあなた、ミステリードラマはいかがですか?
ドラマ「連続殺人鬼カエル男」について
- ドラマ「連続殺人鬼カエル男」
- 評価
- 24分×8話
- 『このミステリーがすごい!』大賞ノミネート
- 主演 工藤阿須賀
- 監督 熊澤尚人
- 原作「連続殺人鬼カエル男」/中山七里
- 動画配信 U-NEXT
「連続殺人鬼カエル男」は、中山七里の小説がドラマ化された作品。原作は「さよならドビュッシー (宝島社文庫)」とともに、ミステリー小説の新人賞である『このミステリーがすごい!』大賞にダブルノミネートされています。
ドラマのポイント
カエル男と呼ばれる犯人が、つきづきと猟奇的な殺人を繰り広げる過激な内容。ミステリー独特の不穏な雰囲気を感じさせる青みがかった映像と、ハッと驚かさせるストーリー展開がとても美しいドラマです。
「連続殺人鬼カエル男」のあらすじ
ある朝、新聞配達員がマンションの13階から吊り下げられた女性の全裸死体を発見する。
現場には気味の悪い犯行声明文が残されていた。
「きょう、かえるをつかまえたよ。はこのなかにいれていろいろあそんだけど、だんだんあきてきた。おもいついた。みのむしのかっこうにしてみよう。くちからはりをつけてたかいたかいところにつるしてみよう。」
引用元|「連続殺人鬼カエル男」中山七里著
まるで子どもがおもちゃを扱っているかのような犯人の文章と、凄惨な殺人。
これが後に「カエル男」と呼ばれるようになる、殺人鬼の最初の犯行現場だった。
カエル男の犯行を止めるべく、埼玉県警の新人刑事「小手川」と小手川の上司である班長の「渡瀬」と2人が殺人事件の謎を追う。(ちなみに小手川役が工藤阿須賀さんで、渡瀬役は鶴見辰吾さん。この2人の刑事姿がめちゃくちゃかっこよかった)
小手川と渡瀬は、これまで犯罪経歴のある精神疾患者に捜査対象を絞って進めていくが……。
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ドラマ「連続殺人鬼カエル男」の感想|人間の正常な精神とはなにか
ドラマの見どころ
「連続殺人鬼カエル男」の面白さは、「本当の犯人はいったい誰なのか?」という疑問が最後まで残るところです。
連続殺人は一見当たり次第の犯行に思われますが、その一方で現場にはカエル男へとつながる証拠はほとんど残されていません。犯人カエル男は異常者かもしれないが、恐ろしく慎重なのです。
それがカエル男の不気味さをさらに際立たせているといえます。
なぜ被害者はカエル男に殺されたのか?カエル男は、どんな理由で被害者を選んでいるのか?狙われる理由があれば、自分には無関係だと思えますよね。でも、もしも被害者たちに何の関連性もないとしたらどうでしょうか?
「つぎに狙われるのは自分かもしれない」そんな不安が新聞やワイドショーから社会全体へと広がっていき、身の危険を感じた一般市民たちが、どんどんヒステリックになっていく様子がとくに印象的でした。
カエル男は「刑法第三十九条」に踏み込んだ作品
また、このドラマの大きなポイントとなるのが刑法第三十九条です。
刑法第三十九条
心神喪失者の行為は、罰しない。
2 心神耗弱者の行為は、その刑を軽減する。
引用元|e-Gov法令検索
刑法第三十九条が適用されれば、どんなに凄惨な事件を起こしたとしても責任能力がないとされ、刑に処されることはないのだそうです。
正直にいうと、ドラマを見て初めてわたしは刑法第三十九条について知りました。
非常にデリケートで難しい問題ですが、それでも「心神喪失者であるかどうかを見分けることは可能なのか?」「責任能力なしと下した判断が間違いではないと言い切れるのか?」といった疑問がつぎからつぎへと頭の中を駆けめぐります。
ドラマのなかで普通に日常生活を営んでいた人たちが、理性を失い感情的に攻撃的になるシーンが描かれていたのですが…。
ひとりの人間のなかにも穏やかな部分と凶暴な部分があって、状況に応じて激しく変化している。カエル男の容疑者として出てくる人物よりも、一般市民のほうが個人的にはより恐ろしく感じました。
すると誰もかれもが怪しく、カエル男に見えてくるのですね。本当に最後までドキドキを味わわせてもらいました。
ドラマと原作小説「連続殺人鬼カエル男」の違い
ドラマでは原作「連続殺人鬼カエル男」の雰囲気が、うまく再現されていたと思います。中山七里作品ファンのかたは、小説の答え合わせをしながらカエル男の世界を楽しめるはずですよ。2つの違いを挙げるなら……
壮絶な殺害場面などのシーンが、さらっとした表現に変更されていたところでしょうか。
原作ではドラマよりもさらにグロテスクな描写が多く、読んでいるとなんだか体が痛くなってくるほど……。それも「連続殺人鬼カエル男」の特徴のひとつですが、生々しいシーンがかなり多いです。
苦手な方はドラマだけ見るほうがいいかも。しかし小説では、その分(?)強烈なハラハラドキドキが味わえます。
また、カエル男を含めた「登場人物の生い立ち」や「なぜ連続殺人をする必要があったのか?」など、カエル男の物語をより深く知るには、原作小説「連続殺人鬼カエル男」がおすすめですね。
カエル男の猟奇的な犯行とその謎を解くカギの関連性といいますか、ミステリー小説の伏線回収感は、やはりドラマよりも原作のほうが鮮やかでした。
原作小説「連続殺人鬼カエル男」
ネタバレあり!連続殺人事件の犯人「カエル男」の正体を解説
ここからは、連続殺人事件の犯人「カエル男」の正体について解説します。
というのも、最終回を見たときに「え?どういうこと!?」ってなったんですよね。あのときのモヤモヤした気持ちを浄化させるために、自分なりにカエル男について整理してみました。
ネタバレを含んでいますので、知りたくない方は下にあるタブはクリックしないでね★
どんでん返しミステリーが楽しめる「連続殺人鬼カエル男」
今回はドラマ「連続殺人鬼カエル男」について紹介しました。はじめはカエル男の凄惨な殺人に目が奪われますが、その奥にある刑法第三十九条をとおして「精神喪失者は、更生できるのか?」を考えさせられる作品。
カエル男の凄まじい殺人に怯えつつ、怒涛の伏線回収からのどんでん返しは「これぞミステリー!」と叫びたくなりますよ。
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